ボカシノロポエ

このブログは、ボカロ曲の歌詞について個人的な解釈を発表する場です。Twitter→@poe_rics

第6回「ミトコンドリア・イヴ」

 

人々は、振り返るために生きている。

  

この記事は、ピアプロに投稿した歌詞と共にご覧下さい。

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【ストーリー設定】

画面の中の初音ミクと画面の外のボカロPの話。「2次元」の平面なキャラクターだった初音ミクも、最近は「3次元」の立体なLIVEを行うようになり、2次元と3次元の区別が益々つかなくなってきた。

そのように環境が変わる中でも、二人三脚で一緒にボカロ曲を作りあげ、思い出を作り上げてきた。思い出というタイムマシーンに乗り、初音ミクとボカロPは今日もあの日に戻ることができる。また、登場人物がボカロPということで、歌詞中には音楽用語が散りばめられている。 

 

【概念設定】

僕たちは、何故お土産を買うのか?何故観光地で写真を撮るのか?

歴史的な経緯はさておき、現在では、物理的にそのものが欲しいから買う(写真を撮る)というよりも、記憶装置としての思い出を買っている(撮っている)のではないだろうか。自宅でシャチホコのマグネットを見れば名古屋を思い出し、オリオンビールの栓抜きを見れば、沖縄を思い出す。 スマホジンギスカンや海鮮丼の写真を見れば、北海道を思い出す。I love GUAM のTシャツを見れば、海外旅行を思い出す。

 

そう、お土産は記憶装置としての役割を担う。

昔話をしている時の人間は皆、生き生きしている。一瞬で過去に戻ることができる。

 

それは「こういう出来事だったから」楽しかったのではなく、「この人とだったから」楽しかったのではないだろうか。

例えば、付き合い始めのカップルであれば、バスに乗るだけでも楽しい。電車に乗るだけでも楽しい。反対に、会社の上司や部活の先輩など、人間関係に悩み、「違う人だったらな」と思うこともある。楽しいことでもその人がいたらつまらなくもなる。

 

意味のあることをやりたいのか、誰と生きていきたいか。

 

一緒にやりたい人が見つかれば、自発的に知りたい、調べたい、勉強したいと思い、興味や好意が生まれる。 ケの日の中にもハレな瞬間が生まれる。 もうダメだと思っても、動き出せば物語は終わらない。文法がめちゃめちゃになったとしても、続ければ物語は続いていく。

 

鉱石は見方によっては石だけど、見方によっては宝石に変わる。石を愛でる。思い出を愛でる。

 

【語句説明】

①スーベニア・・お土産のこと

②タイムマシーン・・思い出のこと

③オタマジャクシ・・音符のこと

④カエる・・オタマジャクシが 五線譜の海を泳ぎ「カエル」に成長することと

      行き詰まったら五線譜の海に「帰る」というダブルミーニング

⑤和音・・高さが異なる複数のピッチクラスの楽音が同時に響く音のこと。

カデンツ・・コード進行のこと。この楽曲では、人生のルートの意。

短調・・短音階に基づく調性。暗さを感じさせる曲調。

長調・・長音階に基づく調性。明るさを感じさせる曲調。

短調な世界で長調な物語・・「単調」と「短調」との同音異義語のかけ合わせ。

ミトコンドリア・イヴ・・人類の起源と言われる、人類の共通女系祖先。この楽曲では、「初めての人類」ということで、ストーリー設定上のボカロPが「初めて出会ったボカロ」である初音ミクと共に歴史を作っていくという意。

 

【歌詞サンプリング】

 ユメノオト

by コン(ポタージュP)「バースデーアーチ」

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